《 校長あいさつ 》
新しい社会を創造したいと思っている、あなたの背中を私たちは押し続けます。
筑紫女学園中学校・高等学校 校長
松尾 圭子
筑紫丘高等学校長、福岡県教育庁理事を経て母校に着任。これまでの功績が認められ、「平成29年度教育者表彰(文部科学大臣表彰)」を受賞。福岡県男女共同参画のロールモデルにも取り上げられる。
筑紫女学園の創設者であり、初代校長であった水月哲英先生は、日本の女性の教養・地位向上のため、生涯を女子教育のために捧げられました。筑紫女学園は創立以来117年の間、「仏教のみ教えを通して生徒の人間的成長を促すとともに、自らの人生は自らの力で切り拓くことができる自立した女性」を世に送り出してきました。この建学の精神のもと、本校の卒業生が時代に先駆けて自分らしく人生を切り拓くロールモデルとなり、各界で大いに活躍されている姿に触れるたびに、私たちは元気を与えていただき、誇らしく感じています。本校は建学の精神をしっかりと継承しながら、変化の激しい時代を生徒が生き抜くために、今なすべき教育とは何かを常に考え、果敢に改革・改善に取り組む「古くて新しい学校」でありたいと考えています。
そのために、教え込む授業から自ら学び考える授業“Teach Less, Learn More.”を掲げ、一斉・一律の授業に偏りすぎることなく、探究的な学びなどを通して自分の興味・関心をもったことを追究できる環境を整えています。自分の好きを追究することは学び続ける原動力ですから、生徒の好奇心を刺激する志の種を蒔き、自ら学ぶ力を引き出すことを大切にしています。
また、進路実績も大切ですが、学校は変化の激しい時代を生き抜き、人生を切り拓いていくための力を身に付ける場だと考えます。多様な人々と出会い、互いを認め合いながら人間関係を築くことを学ぶ場でもあります。生涯の友と出会ったり、刺激を受ける仲間がいたり、時には悩み苦しみ、傷つくこともあるでしょう。このような経験を重ねながら人間的に成長して社会に飛び立ってほしいと願い、不安定な時期にある生徒をサポートして成長を促すよう取り組んでいます。
新しいモノを創造する、あるいは世の中を変えていくためには、女性の視点や発想力が欠かせません。本校から誰もが生きやすい社会をつくったり、人々を幸せにするモノづくりができる力と創造力を兼ね備えた生徒たちを社会に送り出すことが本校の目指す教育です。何かに挑戦したいと思っているあなたの背中を私たちは押し続けます。 伝統と革新が融合した筑紫女学園高校で皆さんも頑張ってみませんか。
《 教育理念 》
自己に誇りをもち、たくましくそしてしなやかに、
未来を切り拓くことのできる女性を育てる。
創設者 水月哲英と「女子教育」
1900年(明治33年)、本校の創設者水月哲英は、浄土真宗本願寺派北米開教使として渡ったアメリカで、知識や技能、教養といった点で、日本とアメリカの女性の間にある大きな差を目の当たりにし、女子教育の重要性を痛感。女性の教養・地位の向上を目指して、女性の教育環境を整えることに使命を感じました。
そして、帰国後の1907年(明治40年)、福岡の地に筑紫高等女学校を創立したのです。
それから1世紀以上を経た今も、筑紫女学園は女子教育を貫いて、女子の人格形成、学力向上に力を注ぎ、社会で活躍する女性を輩出し続けています。
創設者
水月 哲英
旧制五高から東大へ進学し漢学を修める。
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自己への目覚め
自己を深く見つめ、さまざまな恵みに生かされていることを自覚し、自ら考え、判断し、行動していくことが「自律」です。
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他者への目覚め
自分のまわりにある他のすべての存在を認め、互いに尊重しあう中に生まれるおだやかな世界のことを「和平」といいます。
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いのちへの目覚め
無限の生命のつながりに気付き、自分を支える大いなる恵みに感謝を抱き、その恩に報いたいと願い生きることが「感恩」です。
筑紫女学園は、「親鸞聖人が明らかにされた仏陀(釈尊)の教え、すなわち浄土真宗の教えにもとづく人間教育」を建学の精神としています。本校の校訓である「自律」「和平」「感恩」は、その精神をあらわしたものです。
1世紀以上にわたって受け継がれてきた、知と心の女子教育。人の心を尊び、多様な価値観を受け入れる豊かな人間力、自分を見つめ、自らを信じて未来へと歩む行動力。仏教の教えをもとに、社会を生きるしなやかな感性と教養を身につけ、勇気と誇りをもって新しい時代を創造する女性を育成します。
本校の創設者水月哲英は、そもそも自身の夢を叶えるために女子教育をはじめたわけではありません。「アメリカに居続けて仕事をしたい」という当初の夢は、思わぬ事故に遭い下半身に障碍を負ったことで破れました。しかし、それだからこそ、「日本に戻り、女子教育をすることが、恐らくは自分に課せられた使命なのだ」と悟ったのです。
アメリカに移民していた当時の日本人女性は、自国で教育を受ける機会をそれまで持ち得なかったために、異国の地であまりにも惨めな境遇に置かれていたのです。その無残な光景と障碍を負うという困難が入り交じり、もともと教師であった彼の心に火がついたのです。
自らが感じている辛さや悲しみや苦しみを殊更に遠ざけるのではなく、むしろ大切にしてじっと見つめてみてください。その中にこそ、自分がこの先にやらねばならない道が見えてくるのです。社会を変革する力は、自分でも制御できないほどの〝ほとばしり〟が内に湧いてくる必要があります。あなたが直面する困難こそがその種となるのです。
夢や目標に向かって努力することは無論のこと大事ですが、思い通りの結果にならなくとも悲観する必要などありません。ぶつかった壁の隙間からは、きっとあなたをそれまで以上に輝かせる光が差し込むはずだからです。
勝者を生み出すシステム教育をするのではなく、弱さや苦しみに喘ぐ側に寄り添うこともできる強くしなやかな女性を目指して、自己を磨き時に失敗をしながら共に育つ場が本校です。
117年続く筑女の進路支援実績は全日制課程の2024年度実績でご確認ください。